縄文時代に遡る昔、日本は狩猟採集の生活が中心で、イノシシやシカなど野生動物を狩って食べていました。それから、稲作文化が広まる弥生時代、農耕生活中心になってからも肉食をやめることはなく、それは奈良時代あたりまでは当然のことのように行われてきました。
その後、仏教文化が本格的に普及する中「生きているものを殺してはいけない」といった思想的背景から、それまでの肉食文化が表向きには衰退していきます。
日本での肉食文化が花開くのは、文明開化、明治維新以降のことだとされます。
明治維新から約150年の肉食文化を振り返る
1868年に明治維新が決着を見てから今日までの日本はまさに「肉食ブーム」。
「牛肉は滋養によい」という福沢諭吉の影響もあって、日本人向けに牛鍋を食べさせる店が現れたように、牛鍋、スキヤキ、ビフテキに焼き鳥などなど、さまざまな動物の肉を調理して食べる、さまざまな肉料理が隆盛して行きます。
明治~大正~昭和と、食生活も欧米化で肉食文化も、急激に拡大していきます。
財団法人 日本食肉総合センター
昭和31年から始まる神武景気。経済復興から経済成長へ。食生活の欧米化、米、芋の消費減少に対して、食肉、乳、油脂の消費増大が加速しました。経済的に豊かになった昭和30年代に、明治の肉食解禁後ほぼ1世紀かけて蓄積した食文化が、一斉に開花した感があります。
豚の生産は多頭飼育化。昭和37年の大暴落をきっかけに、零細経営が脱落して、個人経営でも数百頭、企業経営ともなると数千頭という大規模の多頭養豚経営へ。
規模拡大とともに、残飯養豚から濃厚飼料による肥育へと変換しました。
養鶏も昭和33年に飼養羽数は戦前のピーク時を超え、同じ時期に肉専用のブロイラーの生産が始まりました。財団法人 日本食肉総合センター / 食生活の欧米化で急増した肉食
http://jbeef.jp/daizukan/encyclopaedia/article.html?encyclopaedia_article_id=654
明治からここ150年間、日本の肉食文化も「文化」として、そろそろ定義される時期に来たようにも感じる今日このごろです。
大変革?ヴィーガン時代到来!?日本の食文化にも大きな影響が・・・
ヴィーガン、ヴィーガン主義(ヴィーガニズム)
人間が動物を搾取することなく生きるべきであるというヴィーガン主義(ヴィーガニズム)。
最近、よく目にし耳にします。
ベジタリアン(菜食主義)とは異なり、ベジタリアンが卵や乳製品を許容しているのに対し、ヴィーガンは、動物性食品を食べず、動物製品を使わないなど、ピュアベジタリアンとして主義、思想を背景とします。
動物性食品、動物性の商品全般を否定しているヴィーガニズムです。
近年日本国内においても、ヴィーガン食が大きく取り上げられ、肉食文化とは対象的に、徹底した菜食文化も共存しつつあり、ヴィーガン対応のレストランやカフェも増えて来ているようですね。
ヴィーガン食、ヴィーガニズムに対して、日本の伝統食である、寿司や焼き鳥、ラーメンなども食べる食品の対象ではなくなってしまいますね。
ヴィーガン寿司として野菜に限定されるネタ
やきとりも、野菜だけのネタ
ヴィーガンラーメン(スープも動物性のものを使用しない)
など、他にも日本食として人気の「しゃぶしゃぶ」「とんかつ」「スキヤキ」「天ぷら」などなど、ほとんどの日本食にも、このヴィーガン食の台頭が大きな影響を与えることになるでしょう。
対して
米、味噌、醤油
納豆、豆腐
日本酒
といった日本食を代表するメニューは、ヴィーガン食にも対応したメニューになりますね!
ヴィーガンとベジタリアンの違い
ベジタリアンとは「菜食主義者」の総称ですね。
ベジタリアンと一口に言っても実は様々なタイプに分けられるそうで、ベジタリアンとして一括に定義するのは難しいです。
菜食主義者としての、ざっくりとしたイメージ(私見)では、「肉や魚を食べない、植物性の食品として、野菜や果物、穀物や豆、きのこや海藻を食べる人(主義)」と理解していますが、細かく定義づけすると以下のようになるそうです。
ラクト・ベジタリアン
肉、魚(魚介類)、卵は食べず、乳製品、植物性食品は食べる(ラクト=乳、乳製品はOKなことからラクト・ベジタリアン)
ラクト・オボ・ベジタリアン
肉、魚(魚介類)は食べず、卵、乳製品、植物性食品は食べる乳卵菜、欧米のベジタリアンの大半はこのタイプ
ペスコ・ベジタリアン
肉は食べないが、魚(魚介類)はOK、加えて卵、乳製品、植物性食品は食べる
ベジタリアンを代表的な3つに分類してみましたが、ヴィーガンは「ピュア・ベジタリアン」とも呼ばれ、「完全菜食主義」、ベジタリアンの一種ではありますが、肉・魚(魚介類)のほか、卵や乳製品・蜂蜜も含む動物性食品を一切口にしない。
また、食だけに限らず、身の回りの品、衣食住すべてにおいて、動物性の素材を避け、動物の命を尊重することが特徴的でもあります。そのことから、エシカル・ヴィーガンとも呼ばれるそうです。
補足:
その他にもベジタリアンのカテゴリーがあります。
ノン・ミート・イーター
動物の肉を食べない人たち。それ以外は制限なく食べる。肉の皮や油は食べる。肉そのものを食べない人たち
ポゥヨゥ・ベジタリアン
鶏肉以外の肉を食べない人たち。鶏肉以外の肉を食べない人たち。それ以外は制限し。
オリエンタル・ベジタリアン
ビーガン同様に動物性のものは一切食べず、さらに五葷(ごくん)と呼ばれるニンニク、ニラ、ラッキョウ、ネギ(玉ネギも含む)、浅葱の五つの植物も食べない人たち。仏教の影響が強く、中華圏、特に台湾で盛んで「素食(中国語でスーシー)」とも言われ、台湾のまちなかでよく「素食」と書かれたお店を見たことがあります。日本の精進料理もほぼこれに当てはりそうですね。仏教色が強い食に対する思想。
フルータリアン
フルーツやナッツなど木の実しか食べない人たち。動物に加え、植物の命も大切にする。果実や木の実といった一部取ってもその植物は死なないけれども、根から収穫する野菜などは、その植物が死んでしまうことから食べないという考え方。
ブレッサリアン(プラーナタリアン)
まったく食事をしない人たち。光と水からエネルギーのみを吸収して生きていると言われている。
などなど、ベジタリアンを細かく分類すると、なんと!19種類以上もあるそうです。
引用:https://www.yoga-gene.com/post-30256/
菜食主義にみる、食に対する思想は奥が深い!
ヴィーガン主義に対応した「おつまみ」は?
ここまで、見てきたように動物性の食材、動物性の商品を一切排除したヴィーガニズム。
お酒、アルコールはどうなのでしょうか?
ワインやビールは、ろ過するときに魚の浮袋から抽出したゼラチンや卵白を使用するものもあるそうです。そうなれば、ヴィーガニズムにとってはもってのほか。
私の知る限り、大変の日本酒は問題なくOKということであれば、お酒の肴(つまみ)も、ヴィーガニズムに適したものを選ぶ必要がありますね。
今後、ヴィーガニズムの家族、知人、友人への贈り物、お食事などは、それらの方々への配慮もきちんとできるようにしたいものですね!
「野菜だからおでんの大根はいいよね」
そう、ベジタリアン主義の方であればOKなのでしょうが
ヴィーガン主義のかたは、おでんの出汁に動物性のものが含まれていたりするのでNGだと思います。
表面的な食材だけでなく、調理の過程、採取の過程に及ぶまで口にするものを厳しく吟味する人たちへの配慮も、ごく自然にできるような世の中になるといいなぁと思う今日このごろです。
肉以外のおつまみ
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