「天災は忘れた頃にやってくる」
台風、高潮、津波、地震等の災害について、認識を深めて、これらに対処する心構えや、実際の備えを準備確認する、そんな目的をもって制定されているのが「防災の日」。
防災の日は、毎年「9月1日」という日付になっています。
防災の日は何故?9月1日なのか?
防災の日は、1960年(昭和35年)6月11日の閣議決定をもって制定されました。
1923年(大正12年)9月1日に発生した「関東大震災」
関東大震災
関東大震災(かんとうだいしんさい)は、1923年(大正12年)9月1日11時58分32秒(11時58分31.6秒、日本時間、以下同様)に発生した関東大地震によって南関東および隣接地で大きな被害をもたらした地震災害。
死者・行方不明者は推定10万5,000人で、明治以降の日本の地震被害としては最大規模の被害となっている。
関東大震災 - Wikipedia
この関東大震災が発生した9月1日が「防災の日」となっています。
防災の日は、その関東大震災による犠牲者の慰霊とともに、災害に備えて避難訓練や防災用品の点検などを促すことを目的とし、また、立春(2月4日頃)から数えて210日目、雑節の一つで「二百十日(にひゃくとおか)」が、毎年9月1日頃にあたります。
この時期は、稲が開花するとても重要な時期でありながら、農作物に甚大な影響を与える台風が日本列島に多く襲来することから、過去にも多くの台風による災害も発生してきた時期として、その経験からこの日を厄日として戒めているともいわれています。
風水害など甚大な被害となることも多い台風シーズンでもあるため、それを警戒する意味も含んでの9月1日、防災の日となっているようです。
雑節の「二百十日(にひゃくとおか)」とは?
前述したように「2月4日頃の立春から数えて210日目」。
古くから、旧暦の8月1日を「八朔(はっさく)」、「二百十日」「二百二十日」を農家の三大厄日として、農作物に大きな被害をもたらす災害が多く発生する時期として恐れ、警戒をしてきました。
ですが、現在のような天気予報が存在しない古く昔、関東に住む農民が沖縄付近に発生した台風について、そいの進路予測をしたりすることも出来なかったはず。
そのため先の、「八朔」「二百十日」「二百二十日」この時期は、常に災害に注意・警戒しながら雨や風を鎮め収穫の無事を祈るようになっていったそうです。
そんな神様に無事を祈り願う祭事を「風祭り」として、風害防除の祈願を行うお祭りが全国各地で現在も残っています。
風祭(かざまつり)
主として二百十日,二百二十日や八朔 (はっさく) などの台風の時期に,作物を風害から避けようとする祈願行事。風籠り,風日待などといって,神社やお堂にお籠りする形が最も一般的で,各戸から1人ずつ出て飲食しながら祈願したり,念仏を称えたり,100万遍の数珠繰りをする。関東から東北にかけては,風穴ふたぎといって団子をつくって家々の神棚に供える。風祭のためと称して獅子舞をするところもあり,長野県をはじめ諏訪信仰の広がる地方では,風を切るまじないである風切り鎌を棟や軒につけたりする。富山県には吹かぬ堂という風神堂が十数ヵ所あり,そこで大風が吹かないように祈る。奈良県竜田神社の風の神祭は古くから有名であるが,伊勢の風の宮,長野県諏訪神社の薙鎌を立てての風祭,熊本県阿蘇神社の風鎮祭なども知られている。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
風祭(カザマツリ)とは? 意味や使い方 - コトバンクデジタル大辞泉 - 風祭の用語解説 - 二百十日前後に、風害から農作物を守るため、風神に風の荒れないように祈る農耕儀礼。正月や盆などに行う地方もある。竜田大社の風の神祭りが有名。風日待かざひまち。かぜまつり。
富山県富山市のおわら風の盆
- 奈良竜田大社の風神祭
- 新潟県の弥彦神社の二百二十日の風祭
- 兵庫県の伊和神社の二百十日の7日前の風鎮祭
- 和歌山県伊勢の風の宮、風雨の順調と五穀の豊穣を祈る風日祈祭
- 長野県諏訪神社、薙鎌を立てての風祭(鎌祭)
- 熊本県阿蘇神社の風鎮祭
他にも日本全国、この時期に風雨の順調と五穀豊穣を祈る祭事が残っているようです。
寺田寅彦の「天災は忘れた頃にやってくる」
寺田寅彦(てらだとらひこ、1878-1935年)という物理学者の先生が残したとされる言葉。
物理学者であり随筆家で俳人であった寺田寅彦。物理、自然科学と文学を調和させた視点から、数多くの業績を残した寺田寅彦の言葉「天災は忘れた頃にやってくる」。
この言葉がこの時期、この防災の日を前に、一番先に思い浮かびます。
自然がもたらす災害は、過去のその被害を忘れたときに、またやってくるという戒め。
台風による風水害の他にも地震、地震による津波や火災などもそうで
寺田寅彦が残した「津波と人間」で警告しているように
こういう災害を防ぐには、人間の寿命を十倍か百倍に延ばすか、ただしは地震津浪の週期を十分の一か百分の一に縮めるかすればよい。そうすれば災害はもはや災害でなく五風十雨の亜類となってしまうであろう。しかしそれが出来ない相談であるとすれば、残る唯一の方法は人間がもう少し過去の記録を忘れないように努力するより外はないであろう。
夏目漱石の小説「吾輩は猫である」に登場する「水島寒月(みずしまかんげつ)」。
珍野 苦沙弥(ちんの くしゃみ)先生の元教え子で、何となく不思議な感じの寒月のモデルが寺田寅彦といわれています。
寺田寅彦
寺田 寅彦(てらだ とらひこ、1878年(明治11年)11月28日 – 1935年(昭和10年)12月31日)は、戦前の日本の物理学者、随筆家、俳人。吉村 冬彦(1922年から使用)、寅日子、牛頓(ニュートン)、藪柑子(やぶこうじ)の筆名でも知られる。高知県出身(出生地は東京市)。
漱石の元に集う弟子たちの中でも最古参に位置し、科学や西洋音楽など寅彦が得意とする分野では漱石が教えを請うこともあって、弟子ではなく対等の友人として扱われていたと思われるフシもあり、それは門弟との面会日だった木曜日以外にも夏目邸を訪問していたことなどから推察できる。
また『吾輩は猫である』の水島寒月や『三四郎』の野々宮宗八のモデルともいわれる。このことは漱石が寒月の扱いについて伺いをたてる手紙を書いていることや、帝大理学部の描写やそこで行われている実験が寅彦の案内で見学した体験に基づいていることからも裏付けられる。
寺田寅彦 - Wikipedia
毎年防災の日を意識している人は、全体の13.97%
株式会社日本マーケティングリサーチ機構
日本マーケティングリサーチ機構による、2021年8月の「防災の日」についての調査によれば、毎年防災の日を意識していますか?の問に対して「意識している」と回答したのは「13.97%」という調査結果。
■調査概要
調査企画:日本マーケティングリサーチ機構
調査概要:2021年8月期_一般調査
■調査手法、期間
調査手法:インターネットでのアンケート調査
調査期間:2021年8月11日~2021年8月30日
■回答者条件
年代・性別:20代男性,20代女性,30代男性,30代女性,40代男性,40代女性,50代男性,50代女性,60代男性,60代女性,70代以上男性
この約14%を多いとするか、少ないとするか?
それ以外の「意識していない」「どちらでもない」と答えたのが約85%。
これまでの被害、古くから過去の経験に裏付けられた「9月1日-防災の日」。
災害に対する恐れを忘れ、意識しない、どちらでもない、心構えや、避難の準備や備えなどを怠っていると「災害は忘れた頃にやってくる」、そんな事にならないように、毎年の9月1日-防災の日を意識することは大事なことなのだろうと思います。
- 家族みんなで地域の避難場所やハザードマップを確認する
- 災害時の連絡方法を家族で確認したり
- 家の中の家具や家電製品の転倒防止対策を行ったり確認したり
- 防災食料をチェックしたり
- 懐中電灯や防災リュックなど防災グッズを確認してみる]
などなど、いろいろありますね。
最近、推奨されている「ローリングストック法」。
レトルト食品や缶詰など、一般的な保存食を少し多めに買い置きしておき、順次消費しながら一定の保存食を確保する方法だと、賞味期間が5年間もあって、なかなか期間管理も忘れがちになりそうな、これまでの保存食ではなく、常温でも比較的保存生が良く、日常食としても活躍する、お気に入りの食品を、見つけては少し多めに買って常に備えていくことローリングストック法を意識しながら、防災の日に食品をお取り寄せしてみるのもオススメの過ごし方です。
最後に、もう一度「災害は忘れた頃にやってくる」。
忘れずに!
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