鯨(くじら)ようかんは、宮崎県宮崎市の北部、佐土原町に伝わる銘菓です。
江戸時代に「鯨のように大きく、力強く育って欲しい」という母の願いを込めて作られたとされています。
佐土原町は、海に面していますが特に捕鯨が盛んだったような歴史はないそうですが、代々伝わる鯨ようかんから、何かと鯨が縁起物、吉兆のシンボルとされています。
鯨ようかん自体は、米粉を練ったものを餡で挟み、クジラに似せて作られた蒸し菓子。
「ようかん」と聞くと、一般的には、小豆を主とした餡を型に流し込んで寒天で固めた和菓子、柔らかめの水ようかんや、しっかりとした固さのある煉ようかんを連想しますが、鯨ようかんは、一般的な「ようかん(羊羹)」とは、姿も味も印象が違います。
ようかんから連想するほどには甘くなく、素朴な甘さというか美味しさがあります。
現在、鯨ようかんを製造しているのは同町に数件しかなく、材料に「うるち米」を使用することから日保ちがしません。
このことから、生産数量は少なく、幻の銘菓となっています。
店舗によって、味が違ったりすることから、お気に入りの鯨ようかんがあったり、食べ比べをしてみたり、江戸時代から続く鯨ようかんは、未だに高い人気の銘菓となっています。
同じ佐土原町では、古く安政年間(1854~1859)から作られてきたという佐土原人形が有名ですが、古くから京都・伏見人形をはじめ日本各地で作られてきた郷土玩具の「饅頭喰い人形」、その饅頭喰い人形が佐土原人形おいては「羊羹喰い人形」となっている点も、鯨ようかんの街、佐土原町ならではです。
佐土原町は、とても土人形づくりの盛んなことでも有名な場所でもあります。
佐土原人形は400年の伝統を今に受け継ぐ宮崎の代表的な郷土玩具。
饅頭喰い人形
童子が両手に二つに割った饅頭を持っている姿をした立像。父母のいずれが好きかと問われた際、その子が饅頭を二つに割ってどちらが美味しいか尋ね返したという教訓話に取材したものといわれています。
伏見人形《饅頭喰い》 - Google Arts & Culture童子が両手に二つに割った饅頭を持っている姿をした立像。父母のいずれが好きかと問われた際、その子が饅頭を二つに割ってどちらが美味しいか尋ね返したという教訓話に取材したものといわれています。
佐土原人形
宮崎県宮崎市佐土原で作られています「佐土原(さどわら)人形」。
その歴史は古く、16世紀後半の島津開藩のころに朝鮮から来た陶工によって始められたとのことです。佐土原人形|わたしの土人形「わたしの土人形」は、これまでに集めた土人形や郷土玩具を紹介しているサイトです。画像をつうじて、土人形ならではの素朴なあたたかみをお伝えできればと思っています。Watasi no Tuchi Ningyō(My lovely clay dolls)is a site where it introduces the cl...
そんな、佐土原町ですが佐土原町内でも鯨ようかんは、午前中で売り切れてしまうほど、なかなか入手が難しいと言われてきました。
鯨ようかんの日持ち&賞味期限はどれくらい?
先にご紹介したように、鯨ようかんには「うるち米」が使用されています。
うるち米は、普段私たちが食べているご飯のお米のことです。
もち米ではなく、うるち米を使用して作られる鯨ようかんですが、そのためお餅よりも、お団子に近い触感を感じます。
保存性の良いもち米から作られる餅と比較して、うるち米を使うことからも日保ちがせず、時間を置くと固くなってしまうことからも鯨ようかんは日保ちがしない、賞味期限が「当日中」とされたり。
そんなことから、生産量も少なく限らてた数しか販売されず、手に入りづらく、買えたとしても旅行者がお土産として持ち帰ったり、お取り寄せすることも出来ず「幻の銘菓」や、「お菓子の刺し身」というような表現で、その特徴を言い表したりもされてきました。
でも、ご安心ください。
現在では、冷凍技術が進歩したこともあり、冷凍品で鯨ようかんをお土産として持ち帰ったり、お取り寄せ(通販)で購入できたり出来るようになっています。
上の鯨ようかんだと「賞味期限:製造日より150日」、「解凍の後の賞味期限は、解凍日を含めて冷蔵で3日」と明記されています。
鯨ようかんの保存方法とは?
佐土原町の鯨ようかん製造元「阪本商店」さんのウェブサイトには以下のようにかかれています。
鯨ようかんは、保存料等を使用しておりません。
すぐにお召し上がり頂けない場合は、一つずつラップで包み、冷凍保存して下さい。お召し上がりになるときは、自然解凍または、レンジや蒸し器などで温めてから、お召し上がり下さい。
冷凍保存も、長期になりますと風味が損なわれます。なるべく、お早めにお召し上がり下さい。TOP of 阪本商店宮崎県の『阪本商店』です。地元で愛され親しまれている当店自慢の「鯨ようかん」は保存料等を使用しておりません。出来立ては、もちもち柔らく、上品な甘さで飽きることなく最後まで美味しく頂けます。
このようにその保存方法が記載されています。
伝統手法に加え、材料も自然素材のみで作られ、保存料など一切資料されていない「幻の銘菓」、宮崎県佐土原町の鯨ようかんなのです。
くじらのぼりをご存知ですか?
https://www.kujira-town.jp/news/20200506_20200506/
鯨ようかんに端を発し、鯨を縁起物、吉兆のシンボルと捉えてきた佐土原町では、鯉のぼりならぬ「鯨のぼり」も登場。
日本特有の風習である「鯉のぼり」。
男児の成長を願って家庭の庭先に鯉を模したのぼりを飾る風習ですが。
佐土原町の地元商工会青年部が、2004年に「鯨」を模した鯨のぼりを掲げたのが始まりです。
「くじらのぼり」は、地元まちおこしグループ「佐土原くじら会」が発案し、佐土原高校産業デザイン科教諭がデザイン。2年の歳月をかけて試行錯誤し1996(平成8)年に完成した。くじら型こいのぼりは全国的にも珍しく、製造販売を行っているのは同町の「ピノキオエンタープライズ」のみという。
同町には捕鯨が盛んだった歴史はなく、くじらをシンボルとする由来となったのは江戸時代の献上菓子「くじらようかん」。佐土原藩第6代藩主、島津惟久(ただひさ)が幼くして父を亡くし、家督を巡っての争いが起きたため、我が子の身を案じた母の松寿院が「くじらのように大きく、力強く育ってほしい」との願いを込めて作らせたと伝わる。後世、惟久が名君と謳(うた)われたことから「吉兆のシンボル」「縁起物」ともされている。
宮崎・佐土原のシンボル「くじら」空に泳ぐ 由来は江戸時代の母の願い今年の「くじらのぼり」掲揚が4月26日、佐土原総合文化センター(佐土原町下田島)通称「くじら館」ではじまった。
銘菓「鯨ようかん」や佐土原人形に続いて、永く愛される伝統となるといいなぁと感じさせる「鯨のぼり」でした。
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