一年を通して、私たちには大切な人へ感謝の気持ちを伝える機会がいくつかあります。その中でも、ひときわ温かい想いが溢れるのが「母の日」と「父の日」ではないでしょうか。
普段は照れくさくてなかなか言えない感謝の言葉も、この特別な日には素直に伝えられる気がします。
カーネーションの赤、力強い向日葵の黄色。
それぞれの花に象徴されるように、母の日と父の日は、私たちにとってかけがえのない存在である母親と父親に、日頃の感謝を伝える大切な機会です。
この記事では、それぞれの日の由来や意味合いを改めて見つめ直し、感謝の気持ちをより深く、そしてパーソナルに伝えるためのヒントを探ります。
母の日：愛情と感謝を込めて
今年2025年の母の日は「2025年5月11日（日）」
5月の第二日曜日に訪れる母の日は、私たちに命を授け、愛情深く育ててくれた母親に感謝の気持ちを伝える日です。
その起源は、20世紀初頭のアメリカに遡ります。
アンナ・ジャービスという女性が、亡き母を偲ぶために白いカーネーションを教会で配ったことがきっかけとなり、次第にアメリカ全土へと広まっていきました。1914年には、アメリカ合衆国議会によって5月の第二日曜日が「母の日」と定められました。
日本に母の日の習慣が伝わったのは、明治時代の末期と言われています。
当初は、アメリカと同様に白いカーネーションを贈る習慣がありましたが、次第に赤いカーネーションが一般的になりました。これは、亡くなった母親には白いカーネーションを、健在の母親には赤いカーネーションを贈るという習慣が広まったためと考えられています。
現代の日本では、カーネーションに加えて、母親の好みに合わせた様々なプレゼントを贈るのが一般的です。花束はもちろんのこと、実用的なギフト、スイーツ、旅行券、手作りの品など、その選択肢は多岐にわたります。
大切なのは、形に残るものだけでなく、「ありがとう」という感謝の気持ちを言葉で伝えること、そして一緒に過ごす時間を持つことなのかもしれません。
父の日：尊敬と感謝の想いを込めて
今年2025年の父の日は「2025年6月15日（日）」
母の日の約1ヶ月後、6月の第三日曜日にやってくるのが父の日です。
母の日が比較的広く知られているのに対し、父の日はやや影が薄いと感じる人もいるかもしれません。
しかし、父の日もまた、私たちを支え、導いてくれた父親に感謝の気持ちを伝える大切な日です。
父の日の起源もアメリカにあります。
ソノラ・スマート・ドッドという女性が、南北戦争の退役軍人である父親を称えたいという思いから、1910年にワシントン州スポケーンで父の日を祝う運動を始めました。彼女の熱心な働きかけが実り、1972年にはアメリカ合衆国で正式に6月の第三日曜日が「父の日」と定められました。
父の日の象徴的な花は、黄色いバラと言われています。
「黄色」は、尊敬や喜びの色とされており、父親への敬意と感謝の気持ちを表すのにふさわしいとされています。ただし、近年では、父親の好きな花や、イメージに合った花を贈る人も増えています。
プレゼントの内容も多様化しており、お酒、グルメ、ビジネスグッズ、趣味に関するもの、健康グッズなど、父親のライフスタイルや好みに合わせたものが選ばれています。
また、子供たちが成長するにつれて、一緒に食事に行ったり、旅行をプレゼントしたりと、思い出に残る体験を贈るケースも増えています。
なぜ私たちは「母の日」「父の日」を祝うのか？
母の日と父の日は、単にプレゼントを贈る日ではありません。
それは、私たちが日頃忘れがちな、最も身近で大切な存在への感謝の気持ちを再確認し、伝えるための貴重な機会です。
母親は、私たちに命を与え、幼い頃から愛情を注ぎ、成長を見守ってきてくれました。
その温かい眼差し、優しい言葉、そして時には厳しさも、私たちが社会で生きていくための基盤となっています。
父親は、家族を支えるために懸命に働き、困難に立ち向かう背中を見せてくれました。
その力強い存在、頼りになる言葉、そして時には不器用ながらも示してくれる愛情は、私たちに勇気と安心感を与えてくれます。
もちろん、家庭の形は様々であり、母親や父親の役割を担ってきた人は、必ずしも血縁のある両親だけではありません。祖父母、叔父叔母、養親、あるいはそれ以外の誰かかもしれません。
大切なのは、私たちを育て、支えてくれた人への感謝の気持ちを伝えることです。
感謝の気持ちを伝える方法
感謝の気持ちを伝える方法は、プレゼントだけではありません。
むしろ、言葉や行動で直接伝えることの方が、相手の心に深く響くことがあります。
言葉で伝える
「いつもありがとう」というストレートな感謝の言葉は、何よりも心に響きます。
具体的なエピソードを交えながら、感謝の気持ちを伝えると、よりパーソナルなメッセージになります。
例えば、「小さい頃、熱を出した時に夜通し看病してくれてありがとう」「進路に悩んでいた時、親身になって相談に乗ってくれて本当に感謝しています」などなど。
手紙やメッセージカードに、日頃の感謝の気持ちを綴るのも良いでしょう。文字には、言葉だけでは伝えきれない温かさや深みがあります。
電話やオンライン通話で、直接声を聞かせて感謝の気持ちを伝えるのも、温かいコミュニケーションになるでしょう。
行動で示す
家事を手伝ったり、肩もみをしてあげるなど、日頃の労をねぎらう行動は、感謝の気持ちを具体的に示すことができます。
一緒に食事を作ったり、出かけたりする時間を持つことは、何よりも貴重なプレゼントになりますよね。
相手の趣味や興味に合わせて、一緒に楽しめる時間を作るのも良いでしょう。
感謝の気持ちを込めた手料理を振る舞うのも、心温まるプレゼントになります。
プレゼントを選ぶ
プレゼントは、感謝の気持ちを形にする一つの手段です。相手の好みやライフスタイルを考慮して選ぶことが大切です。
定番の花束も、気持ちを伝える素敵な贈り物です。カーネーションやバラだけでなく、相手の好きな花を選ぶのも良いでしょう。
実用的なギフトは、日常生活で使ってもらえるため、感謝の気持ちが長く伝わります。
スイーツやグルメは、特別な時間を演出してくれます。
趣味に関するものは、相手の喜びを共有することができます。
手作りのプレゼントは、心を込めた贈り物として、より特別な意味を持ちます。
感謝の気持ちを「伝える」ことの意義
私たちが感謝の気持ちを伝えることは、贈る相手だけでなく、私たち自身にとっても大きな意味を持ちます。
人間関係の深化:
感謝の気持ちを伝えることで、相手との絆が深まり、より良好な関係を築くことができます。
自己肯定感の向上:
感謝の気持ちを表現することで、心が満たされ、ポジティブな気持ちになることができます。
幸福感の増大:
他者への感謝の気持ちを持つことは、自身の幸福感を高めることにつながります。
心の豊かさ:
周りの人への感謝の気持ちを持つことで、日々の生活がより豊かに感じられるようになります。
母の日や父の日は、普段なかなか伝えられない感謝の気持ちを、改めて言葉や行動で表現する絶好の機会です。プレゼントの有無に関わらず、「ありがとう」というシンプルな言葉だけでも、十分に気持ちは伝わるはずです。
これからの「母の日」「父の日」に向けて
時代は常に変化しており、家族の形も多様化しています。核家族化が進み、共働き世帯が増える中で、母親や父親の役割も変化しています。
しかし、親が子を思う気持ち、子が親に感謝する気持ちは、いつの時代も変わらない普遍的なものです。
これからの母の日、父の日を迎えるにあたって、私たちは改めて「感謝」という言葉の意味を深く考え、それぞれの家庭の形に合った、心温まるお祝いの形を創っていくことが大切なのかもしれません。
例えば、遠方に住む親には、オンラインで顔を見ながら感謝の気持ちを伝えるのも良いでしょう。忙しい毎日を送る親には、家事を手伝ったり、リラックスできる時間をプレゼントするのも喜ばれるかもしれません。
また、亡くなった親を偲び、思い出を語り合う時間を持つことも、大切な供養となるでしょう。
大切なのは、形式にこだわるのではなく、自分の言葉と行動で、心からの感謝の気持ちを伝えることです。
母の日、父の日は、私たちにとって、改めて家族の絆を確かめ合い、温かい気持ちを共有する特別な日なのです。
来たる母の日、そして父の日には、ぜひ、普段は照れくさくて言えない感謝の言葉を、勇気を出して伝えてみてください。その一言が、きっと、贈る側と贈られる側双方の心を温かくしてくれるはずです。そして、その温かい気持ちを胸に、また一年、大切な家族との絆を深めていきましょう。
「お母さん、いつも本当にありがとう。」
「お父さん、いつも感謝しています。」
心からの感謝を込めて。
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