ベジタリアン、ヴィーガンに続いて、ハラル(ハラール)、台湾素食っていうのもあるぞ!

ベジタリアン、ヴィーガンに続いて、ハラル(ハラール)、台湾素食っていうのもあるぞ! お酒のつまみになる話
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前回に引き続きのテーマですが、今回はよく耳にする「ハラール」や、「精進料理」などにみる、食のルールについて。

ベジタリアン(菜食主義)は、「主義」なのでルールと言うよりは「思想」とかに近いように思います。

ハラールや精進料理は、「こういうことは許されている」とか「こういうことは駄目」といったルールというか、規律とか「そう定められているもの」、そういうイメージに近い分類になるように思います。

菜食主義は、主義なので「野菜を食べて、肉を食べない」という意思ですが、「野菜は食べていいけど、肉は食べちゃダメ」というルールではないと思います。

対して、ハラール食や精進料理には、「定められた」食材や調理法、処理方法を施していないと基本的にはタブー。

精進料にも、使ってはいけない食材が、仏教の戒律に基づいて定められています。

 

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ハラール(ハラル)について

ハラールは、イスラム法で許された項目をいう。端的にはイスラム法上で、行って良い事や食べることが許されている食材や料理を指す。日本語に訳すと、「合法的にある法律に基づいてやる事(許可)」という意味となる。なお、日本では「ハラル」と書くことも多い。ハラールは物(食べ物、飲み物、化粧品)だけではなく事(約束、契約、仕事)も含まれる。

反対の概念をハラームと言い、「やってはいけない物・事(禁止)」という意味となる。
イスラム法の下では豚肉を食べることは禁じられているが、その他の食品でも加工や調理に関して一定の作法が要求される。この作法が遵守された食品がハラールとされる。

ハラール - Wikipedia

端的に言えば、ハラールとは「許されたもの」。
イスラム法における「合法」を意味し、イスラム教徒が「許されたもの」、食で言えば、イスラム教徒が、問題なく食べることが出来るものということ。合法なもの。

ちなみに、イスラム教徒は「豚」やアルコールが禁止されていることは、よく知られていますが、ハラールが示す「合法」は、豚肉やアルコールといったような品目、食材や料理ではなくて、その処理の過程や、質についても明確な規定があるといいます。

例えば、食肉に関しては血抜きをするため、バクテリアの繁殖を防ぎ、鮮度を保ち、食に限らず、加工品や化粧品など、日常的な商品の原材料にもその規定はおよびます。
ハラールではない成分を含むもの(ポークエキス、ゼラチン、豚脂など)を食べたり、利用することが禁じられているのです。

その根底にあるのは、口にするものが、どういった状態であるのか、どのように処理されているのか、何が含まれているのか、まさに健康的で安全に暮らすための規定、ルールです。

いわば、ハラール食は厳格に安全や健康が追求された食であることの証かもしれません。
最近見かけるようになってきた食品パッケージに記載されている「ハラール認証マーク」、私たち日本人が「日本製」にこだわる以上に、イスラム教のの人たちは「ハラール認証」にこだわるのだと思います。

それすなわち、どこに行っても(住んでも)、その認証が安心や安全を担保してくれるという、絶対的な信頼のマークということになります。

ハラル(ハラール)認証とは

ハラル、ハラムの区別は原材料だけであれば容易に判断ができますが、私たちが購入する加工品などの製品には多くの成分が含まれているため、ハラルかハラムかどうかの見分けがつきません。そこで、宗教と食品衛生の専門家(ハラル認証機関)がハラルかどうかの検査をしてハラル性を保証するのが「ハラル認証」という制度です。

例えばハラル認証機関でその製品がハラルであると認められれば、そのハラル認証機関のマークが製品に与えられます。ハラル認証マークのある製品は、豚やアルコールなどの禁止されている成分が一切含まれていないことを保証するだけではなく、その製品が製造環境・品質・プロセスを含む全てがイスラム法に則り基準をクリアしているという意味があります。そのため、ハラルマークがあれば、ムスリムが自分で成分を調べなくても「安心・安全な製品」と認識し購入する際の判断材料になります。

ハラル認証について – ハラル基礎知識|一般社団法人ハラル・ジャパン協会
ハラル認証について – ハラル基礎知識についてのご案内です。一般社団法人ハラル・ジャパン協会は、ハラル市場に特化したBtoB ビジネスと専門的なコンサルティングを武器に、ハラルビジネスに必要なセミナー・企業研修から、ハラル認証取得のコンサルティング、輸出・進出・人材、PRまで、マーケティング戦略構築のトータルサポートを...

そういった絶対的信頼性を持っているように思う「ハラール認証」が付けられた商品ですが、問題点もあるようです。

ハラル認証機関は、世界中に300以上も存在していると言われ、その全てに統一の基準があるわけではありません。ですので認証する判断基準も、バラバラでその安心安全がどのように判断され認証されているかが不明確なのです。

日本におけるハラル認証機関だけでも、30以上が確認されているそうです。

ですが、先に引用した「一般社団法人ハラル・ジャパン協会」によれば

ハラルの考え方は「農場から食卓まで」です。ハラル認証機関などから要求されることは、※サプライチェーンの全てがハラル性を維持している状態です。

サプライチェーンの全てがハラル性を維持している状態

消費者として商品を選択する側からすると、ハラルを考えのもと整うとすれば、究極の安心安全が実現される社会になります。

 

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仏家用の戒律の基づく精進料理

日本に伝わる「精進料理」は、和食のひとつの分野のように理解していましたが、実は
仏教の戒律をもとにしていることから、日本以外にも、中国・台湾・香港・シンガポールやマレーシアなどにも、仏教系の精進料理が存在しています。

精進料理のベースにある、仏教のおしえである「殺生や煩悩からの刺激を避けること」をもとに、動物性の食材や、五葷と呼ばれる禁葷食(きんくんしょく)として、主にネギ属の植物であるネギ、ラッキョウ、ニンニク、タマネギ、ニラなどを避ける食事のルール。
日本では、行事食として冠婚葬祭やお盆、法要などの席には精進料理なイメージですが、お坊さんたちのお食事にも欠かせない精進料理です。

精進料理における最大のタブーは、動物性の食材。

仏教の戒律によって、肉食、動物の殺生も禁じられていることから、僧侶の食事には動物性のものが禁忌とされている。

精進料理|禁止対象|肉食

第一に、動物性の食材は禁忌とされている[1]。仏教の世界では戒律によって在家の信徒は「五戒」で、僧は「沙弥の十戒」をはじめとして元から殺生が禁じられており、大乗仏教では『楞伽経』を基に僧の肉食も禁止されたため、僧俗への供養や布施として野菜や豆類、穀物を工夫して調理する。

インドの初期仏教においては、部派仏教の律による十種肉禁を除いた三種の浄肉(見聞疑の三肉とも。この場合は僧侶が、殺された現場を見なかった動物の肉・僧侶本人のために殺されたと聞かなかった動物の肉・前記二つの疑いがない動物の肉)であれば食べることができ、釈迦も乳糜(牛乳で作った粥)の布施を受けて大悟したなど、乳製品の摂取も禁止されていなかった。現在でも、タイ、ミャンマー、カンボジア、ラオスといった上座部(小乗)仏教圏においては、僧侶が三種の浄肉を口にすることが認められているため、菜食を基本とした精進料理は発達していない(精進料理という概念そのものは存在する。タイのジェー等)。

これに対して6世紀の中国では、仏教に傾倒した梁武帝が不殺生を厳格化し、僧侶に対して肉食が禁止された。この考えが朝鮮、日本、ベトナムなどの東アジア・東南アジアに伝播し、大乗仏教文化圏では菜食料理が発達した。ヒンドゥー教徒やジャイナ教徒にも不殺生として菜食を習慣とする人がいるが、精進料理は基本的に仏教と関係したものに限られる。なお、卵や乳製品などの扱いも時代や地域によって異なる。

精進料理 - Wikipedia

なんとなく、ベジタリアンの細分化されたカテゴリーにも似た雰囲気がありますが、これも戒律によって、許可・不許可が示されているルールということになります。

最近の料理としての精進料理の中には、出汁に動物性のものを使用していたり、純粋に食としての内容を追求し、形として精進料理としたものも多く見られるようになってきましたが、実際には、厳格な仏教の訓えに基づくルールである、ということになります。

 

以前に、台湾に旅行した際、まちなかに「素食」と書かれた食べ物屋さんを多数見かけたのですが、日本人で無知な私が「素食」というワードから受ける印象は、「質素な」とか「簡素な」といったイメージしかなく、「素食」と書かれていると、行列が出来ていて評判が良さそうなお店でも、避けて通ってしまっていました。

中国や台湾では、仏教起源の精進料理を「素食」や「素菜」として表します。
台湾では「台湾素食」として人気だそうです。

日本の精進料理と比較して、台湾素食の大きな違いは一言でいい表せば「満足感」。
和食の精進料理もどこか控えめな印象がありますが、台湾素食は、その味付けや調理法、素材のバリエーションの豊富さから、菜食主義者でないひとも、十分に満足してしまうほどの内容です。

台湾は、国民の約10%ほどが菜食主義。
アジアにおける菜食主義者の多い国の第2位とされています。
(1位はインドの31%)

台湾素食(たいわんすーしー)

台湾素食には、大乗仏教や道教の全真教などで食べることが禁じられている三厭(天厭:空を飛ぶ鳥・鶏など、地厭:地を這う牛・豚など、水厭:水中の魚介類)および五葷(ネギ、ニラ、ニンニク、ラッキョウ、タマネギ)を一切用いない。肉だけでなく、動物由来の油、卵、乳製品も一切使わない。出汁にも肉や魚介類を一切使っていない。昆布とシイタケは出汁だけでなく、食材としても好んで使われる。

菜食料理というと「青臭い生野菜や味の薄い代用料理」と思われがちだが、台湾素食は菜食料理を食べなれない者でも満足出来る味付けと工夫がなされている。とりわけ、モドキ料理の「素鶏」、「素肉」、「素魚」、「素魷魚」などと呼ばれるゆば、「豆干」(豆腐を押し固めたもの)などの豆腐食材、麩などのグルテン、蒟蒻などの食材を用いて肉や魚やイカの食感を巧みに表現している。なかでもグルテンを白身に海苔を皮に見立てたウナギ料理は、本物と騙されるほど巧みに作られている。これらの料理は福建省や上海市周辺など、中国大陸における素食が伝わったものが多いが、台湾素食は洋菓子を乳製品なしで作ったり、和食の刺身風のものを用意し、味付けも台湾料理や客家料理などのものを取り入れるなど、台湾の食文化の影響を受けながら独自の発展を見せている点が特徴的である。

台湾素食 - Wikipedia

日本の精進料理に話を戻します。

日本に仏家ようが伝来、同時に伝わってきたとされる精進料理。
平安時代には、魚や鳥は使っても、味は薄めの菜食を中心とした料理が原形として形作られます。

その後、鎌倉時代の禅宗の広まりとともに精進料理としての形を確立していくとされています。

当時は、甘い辛い酸っぱい苦い塩辛いの五味、煮る焼く揚げる蒸すといった調理の五法を重視したバリエーション豊かなものであったそうです。

禅において、食にまつわるすべてが修行とされ、料理の準備から調理、食べること、さらには後片付けに至るまでの全行動を通して自己を見つめる修行であるとされています。


典座教訓(てんぞきょうきゅん)や赴粥飯法(ふしゅくはんぽう)には、食事と向き合うこと、食べる人の心構えなどを細部にわたり記載したものも残っています。

苦・酸・甘・辛・醎(塩辛い)の五味に加えて「淡味」として、素材の味を活かすために薄味にすることを示し、完成度・作法として「三徳」、食事の出来や心遣いについての基本姿勢、食べる相手を考えて調理ができているかどうかといったことまで示されています。

禅寺で食事を司る役目を「典座(てんぞ)」といいますが、典座の三心として以下のように示されています。

典座教訓
  1. 喜心(きしん)
    他人のためにことを成し、その人が苦を離れて楽を得るのを見て、己の喜びとする心。相手の喜びを自己の喜びに、食事を作らせていただけることへの感謝を忘れない。
  2. 老心(ろうしん)
    いわゆる老婆心のこと。わが身を顧みず、深い慈しみから親切になって他者に関わる心。食べる相手のことを思って調理する。食材そのものに対しても感謝し、丁寧に扱う。
  3. 大心(だいしん)
    山のようにどっしり、海のように広々と構え、一方に偏ったり固執したりすることのない心。トラブルが起きても広い視野で粛々とことに当たる。

 

三心(料理の極意)

喜心=つくる喜び

老心=もてなす喜び

大心=相手の立場を思う喜び、親切心です。

403 Forbidden
  • 調理前)
    環境をきれいに整える
    まな板や鍋、コンロの数、食器などの確認。何がどこにあるか、どれだけあるかを把握する。シンクも調理器具のひとつと捉えてきれいにしておけば、食材がこぼれ落ちても無駄にならない。

  • 調理中)
    洗い物を片付けながら調理を進める
    目の前の作業スペースを広く維持しながら調理をすることは、心の作業スペースを広く保つことにも通ずる。
    「やりっぱなし」に注意
    ものを出したらしまう、扉を開けたら閉める。「面倒くさい」と感じたことこそ、すぐ片付けてしまうとよい。雑な自己の在り様と向き合う。

  • 調理後)
    器具はあるべきところに収納する
    重いものは下に、軽いものは上に。あるべき場所にものを置き、安定させることは、自身の心身の安定にもつながる。

こう紐解くとと、ムスリム「ハラール」にも似た規律・ルールといった内容にも共通する部分が多くなってくるように感じるところです。

菜食主義、多種多様な食のあり方

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観光庁でも、「ベジタリアン・ヴィーガンの旅行者をおもてなし!~「飲食店等における外国人ベジタリアン・ヴィーガン対応ガイド」を作成しました~」として、様々な資料を提供しています。

飲食事業者等におけるベジタリアン・ヴィーガン対応ガイド(PDF)

日本では、ベジタリアン・ヴィーガン率はまだまだ低く、4%前後だとされています。
ですが、世界的に見れば、5%前後の国は多数あって、突出してインドや台湾が、その文化的背景もあって高くなっています。

SDGs、エシカル消費の正解的な注目度の増加にともなって、ベジタリアン・ヴィーガンやハラール、精進料理や台湾素食などの食に対する傾向も、どんどん増加してくるようにも感じるところになってまいりました。

 

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