今回は、災害に備えるための食料品の備蓄方法についてお話ししたいと思います。
災害に備えるというと、非常食や保存食をたくさん買っておくイメージがありますが、実はそうではありません。
非常食や保存食は、賞味期限が長いとはいえ、いつかは切れてしまいますし、普段食べないものを急に食べると体調を崩すこともあります。
そこで、おすすめなのが「ローリングストック」と「フェーズフリー」という2つの方法。
どちらも普段から食べている食品を多めに買っておき、日常的に消費して補充するというものです。
では、それぞれの特徴を見てみましょう。
ローリングストックとフェーズフリーの違いとは?
ローリングストックとは、家庭で日ごろ食べている食品を中心に、災害時に必要とされる目安の「家族の人数×7日分」の食料品を備蓄する方法です。
例えば、米や水、缶詰やレトルト食品、乾物やお菓子など。
これらは、賞味期限や保存した日付の古いものから順に、普段の食事で使っていきます。
そして、使った分はすぐに買い足して補充します。このようにして、常に一定量の食料品を家庭に備えておくことができます。
ローリングストックのメリットは、以下の通りです。
- 普段食べているものなので、災害時にも安心して食べられる。
- 賞味期限切れや無駄な買い物を防げる。
- 簡単な調理でバランスの良い食事が作れる。
- ストレスや不安を和らげる効果がある。
一方、フェーズフリーとは、ローリングストックよりもさらに長期間の備蓄を目指す方法です。
フーズフリーでは、「家族の人数×1か月分」以上の食料品を備蓄します。
例えば、米や水以外にも、パスタや小麦粉、砂糖や塩などの調味料、油や酢などの調理用品など。
これらは、賞味期限が長くても2~3年程度なので、ローリングストック同様に日常的に消費して補充する必要があります。
しかし、普段から使う量よりも多めに買っておくことで、災害時にも長期間にわたって自給自足できるようになります。フェーズフリーのメリットは、以下の通りです。
- 災害時にも自由なメニューを作れる。
- 栄養価やカロリーが高くて満足感がある。
- 自分や家族の好みやアレルギーに合わせることもできる
- 食品ロスを減らすことができる
以上のように、フェーズフリーは、緊急時の食料備蓄としてだけでなく、日常的な食生活としても有効な方法です。
フェーズフリーの5原則とは?
「フェーズフリーの5原則」とは、平常時(日常時)や災害時(非常時)などのフェーズ(社会の状態)に関わらず、適切な生活の質を確保しようとする概念である「フェーズフリー」を実現するための指針です。
フェーズフリーの5原則は以下の通りです。
フェーズフリーの5原則は「常活性」「日常性」「直感性」「触発性」「普及性」で構成され、各原則を表す言葉それぞれに、フェーズフリーとしての解釈が加えられ定義されています。
フェーズフリーの5原則
– 常活性:どのような状況においても利用できること
– 日常性:日常から使えること。日常の感性に合っていること
– 直感性:使い方、使用限界、利用限界が分かりやすいこと
– 触発性:気づき、意識、災害に対するイメージを生むこと
– 普及性:参加でき、広めたりできること
平常時や災害時などの社会の状態に関わらず、いずれの状況下に於いても、適切な生活の質を確保する上で支障となる物理的な障害や精神的な障壁を取り除くための施策、およびそれを実現する概念。
商品やサービスに具現化させることで、平常時のみならず災害時においても有効に利用され、もって社会的脆弱性を解消しようとする考え方。
平常時でも災害時でも有効に利用できる商品(プロダクツ)、役務(サービス)、およびそれらが実現する価値。
バリアフリーが高齢者や障害者などの要援護者への空間的な自由を提案しているのに対して、フェーズフリーは全ての人への時間的な自由を提案している。
例えば、以下のような場合にフェーズフリーな『筆記用具』と呼ぶことができる。
水に濡れても問題なく文字を書く事が出来る(フェーズフリーが実現する、平常時と災害時での共通の価値)
視界が効かない状態でも何らかの方法で所有者の位置を知らせる事が出来る(フェーズフリーが実現する、平常時とは別の、災害時での変化した新しい価値)
フェーズフリー - Wikipedia
これらの原則は、商品やサービスの評価や開発において参考になるだけでなく、社会全体の災害対応力を高めるためにも重要です。
フェーズフリーは、プロダクトや建築、情報やサービスなど、あらゆる領域に広がる可能性を持っています。
また、誰でも自由に発想し活用できるプラットフォームでもあります。
フェーズフリーの考え方を広めていくことで、日常時も非常時も快適で安全な社会を目指していきましょう。
フェーズフリー商品の事例とは?
フェーズフリーとは、日常時と非常時の区切りをなくすという考え方で、日常で使うものを災害時にも役立てようとするものでした。
フェーズフリー商品は、そのような発想で開発された商品やサービスのことを指します。
フェーズフリー商品の事例としては、以下のようなものがあります。
– 道の駅「くるくるなると」:日常的に地域の特産品や新鮮な魚が売られている道の駅ですが、災害時には売り場にある食品で避難者の食事をまかなうことができます。また、屋上広場は津波からの避難スペースになります。
– フェーズフリーホテル:通常はビジネスホテルとして運営されていますが、災害など有事の際には、被災地に移動して、避難所や臨時の医療施設として活用できます。建物はコンテナ風でタイヤがついており、トラックに連結して部屋ごと移動させることができます。
– フェーズフリー認証マーク:一般社団法人フェーズフリー協会が認証した商品やサービスに付けられるマークです。日常時も非常時も価値を持つことを示しています。
参照:
“備えない防災”「フェーズフリー」 日常のものが災害時にも使える!?
https://www.nhk.or.jp/ashitanavi/article/11368.html
一般社団法人フェーズフリー協会
https://phasefree.or.jp/about.html#about_history
その他にも、災害時、緊急時に限らず日常時に馴染む防災対策や、防災商品は身の回りに沢山売られていることに気が付きます。
これらのフェーズフリー商品は、災害に備えるだけでなく、日常生活の質を向上させることも目指しています。
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