イベントや催し物などで屋台のようにこしらえて食品や物品を販売する簡易な店舗を模擬店といいます。

「模擬」なお店、とういことで、本物のお店のように、一時的に食品や物品を販売するお店ということでしょうか。
その模擬店を継続的に営業していくとすれば、それは「模擬」ではなくなるので、模擬店ではないことになります。イベントや行事が開催されている間だけ、簡易的に営業するお店です。
国内では、飲食物の提供には管轄の保健所に届け出をしたり営業許可をとる必要があります。模擬店は、食品衛生法第4条第7項に規定する「営業」と認められないもので、その行為が反復継続せず、かつ学校教育の一環や地域振興・地域活性等を目的として行われる「催し」に付随して食品提供する行為とされています。
- 公的機関等の主催する祭り
- 自治会、青年・婦人会等が主催する運動会、祭り
- 学校、農協等が行う文化祭、農業祭
- 社会福祉法人等が行う慈善事業
- 商工会、事業者等が主催する運動会、祭り
- 神社、お寺等の祭り
朝市やフリーマーケットなどは、それ自体が事業であり「営業」とみなされます。
模擬店に該当する出店を計画する場合、どのようなことが必要になるでしょう。
模擬店を成功させるために必要なこと

- 模擬店の収支計画
- 出品商品の選定
- 衛生管理の徹底
- 運営シュミレーション
- 効果的な集客
大きくこれらのポイントについて、事前によく計画吟味する必要があります。
模擬店の収支計画
イベントが終わったあと、模擬店が成功したと判断できる指標は、その収支です。
いいかえると、模擬店成功には適切な収支計画をたてて、利益を得ることにあります。
そのためには、以下のポイントについて収支計画をたてていきます。
1) 売上目標の設定
- 1日の来場者数の予測
- 客単価の設定
- 総売上の計算
※売上目標をもとに、販売商品を選定すると計画が立てやすくなります。
逆に、販売商品が選考してしまうと、収支計画が立てづらくなるケースも。
2) 経費の見積もり
- 材料費
- 備品レンタル費
- 宣伝費
- 予備費
3) 利益の計算
- 売上から経費を引いた金額
- 適切な利益率の設定(20-30%程度)
※目標利益をもとに、材料準備の規模、数量を決めていきます。
4) 損益分岐店の計算
- 収支が釣り合う販売数の把握
※赤字にならないための、販売数を把握しておくと運営中も明確に収支を意識した活動ができます。
5) 価格戦略
- 競合店との比較
- 原価と利益のバランス
※競合店が多くあると、計画想定通りに運営できないケースも考えられます。
計画実施に不確定要素が多くならないように、他店と競合とならないポイントを作る必要も大切です。販売価格で他店との差別化を図る場合、原価と利益のバランスも、事前に明確にしておく必要があります。
出品商品の選定

文化祭、学園祭など様々な催しで人気の模擬店の多くは、食べ物を提供する模擬店だったりします。模擬店参加の場合、食品販売をやりたい!といった場合について、その商品制定について考えてみましょう。
定番メニューの、焼きそばや、たこ焼き、唐揚げやフライドポテトにフランクフルトなどなど、よくお目にかかるメニューは、材料を仕入れて保管し、調理して、容器に移して販売することになります。
まず、仕入れからイベント当日、イベント中の保管について。
冷蔵や冷凍保存が必要な場合、もちろん冷蔵庫の確保が必要です。
焼いたり、揚げたりする食材の場合は、調理器具の準備・手配も計画しておかないといけません。
出来上がった商品を提供する際の容器についても。容器のコストや数量についても計画しておく必要があります。
衛生管理の徹底
食品の場合、仕入れてからイベント当日、提供するまで、その食品の衛生管理も管理を徹底しないといけません。
食品を扱う場合は衛生管理が最も重要です。
手洗いや消毒の徹底はもちろん、使い捨て手袋の使用など、衛生面に配慮することで安心して提供できますし、お客さんの信頼も得られます。
その他、代表的な衛生上のチェック項目
- 調理場所の衛生環境のチェック
- 上水道、利用できる水が安全であり、十分に利用できるかの確認
- 会計担当者と、調理担当者を分ける
- 食材の保存環境のチェック
- できれば食材はカット済み、下処理済みのものを
- 包丁やまな板は、食材によって使い分ける
- 作り置きは危険、事前の下処理や調理は、できるだけ別の場所で行わない
- 生鮮食品、卵(割り置き)、牛乳、生クリームの温度管理
食品メニューを選定する際にも、これらのポイントを考慮しながらメニュー選定、素材選定を行う必要もあります。
- 原材料は、既製品やカット済みの食材
- 提供直前に加熱工程があるメニュー
- 生魚を使用するメニューや、お客さんに焼いてもらうような焼肉、生クリームを使用するメニューを採用しない
模擬店メニューの定番品。お好み焼きやたこ焼きで考えると、
- 卵は使う分を直前に、小まめに割って使用する
- カット野菜、カット肉、下処理済みの材料を使用
- タコは、ゆでダコを使用するが、保存基準に則って保存使用する
- ソースやマヨネーズはチューブ式のものを使用
- 鰹節や青のりは蓋付きのものを使用
- 「小麦粉・卵を使用しています」といったアレルギー物質の掲示
ゆでダコの保存基準(1)ゆでだこは、10°以下で保存しなければならない。 ただし、冷凍ゆでだこにあっては、これを-15°以下で保存しなければならない。 (2)ゆでだこは、清潔で衛生的な有蓋(ゆうがい)の容器に収めるか又は清潔で衛生的な合成樹脂フィルム、合成樹脂加工紙、硫酸紙若しくはパラフィン紙で包装して運搬しなければならない。https://www.forth.go.jp/keneki/osaka/syokuhin-kanshi/foodstandard_yudedako.html#:~:text=%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%89%E3%82%86%E3%81%A7%E3%81%A0%E3%81%93%E3%81%AF%E3%80%81,%E9%81%8B%E6%90%AC%E3%81%97%E3%81%AA%E3%81%91%E3%82%8C%E3%81%B0%E3%81%AA%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84%E3%80%82
こんな具合にシュミレーション出来る。
他にも、人気の焼き鳥で考えると
- 加熱加工済みの冷凍焼き鳥を使用
- 保冷庫内で解凍
- タレは、蓋付き容器にて使用
加熱済みのものを使用することで、生焼けによる食中毒のリスクを回避すると、より安全に提供が可能になりますね。
https://youtu.be/Ii8MNAtBqFw
運営シュミレーション
収支計画が決まり、メニューも決定。
調理設備、調理備品をチェック
衛生環境、衛生備品もチェック
会計担当、調理担当ともに実際の作業工程を予行練習するなど、運営スタッフ全員にチェック項目を共有し、徹底できる環境を作ることが大前提です。
分類 | 取扱いの注意点 | 例示 |
---|---|---|
煮物類 | 事前に調理場等の清潔な場所(以下、調理場という。)で下処理した食材を、その場で煮込むこと。 | 豚汁、おでん、煮込み、けんちん汁等 |
焼物類 | 事前に調理場で下処理した食材を、その場で焼くこと。 | 焼き鳥、焼き貝、いか焼、焼ぎょうざ、焼魚等 |
揚物 | 事前に調理場で下処理した食材を、調整した溶き粉、パン粉につけてその場で油により揚げること。 | 串カツ、フライドチキン、フライドポテト、からあげ等 |
茹で物、蒸し物 | 事前に調理場で下処理した食材を、その場で茹でる又は蒸すこと。 | じゃがバター、蒸しぎょうざ、蒸ししゅうまい等 |
お好み焼類 | 水に溶いた小麦粉等と、事前に調理場で下処理した食材を、その場で混ぜ合わせて焼くこと。 | たこ焼き、お好み焼等 |
めん類 | 事前に調理場で下処理した食材とめん類を、その場で加熱調理すること。 | 焼きそば、うどん等 |
ごはん類 |
ごはんは可能な限りレトルト又は無菌包装米を使用すること。 現地で炊飯する場合は、事前に調理場で下処理し、炊飯後は65℃以上で保温すること。 |
カレー、牛丼等 |
レトルト食品 | 現地で加熱し、又はそのままで盛り付けること。 | |
菓子類 | 提供食品は調理場で下処理したものを、その場で加熱調理したものとすること。 | たい焼き、綿菓子、クレープ等(ただし、現地で最終加熱を伴わないものを除く) |
アイスクリーム類 | ソフトクリームの提供は、市販品または押し出し式ソフトクリームのみに限ること。 | |
酒類 | ビールサーバーによる提供は、専門の業者により衛生的に管理されたサーバーを用いること。 | 日本酒、ビール、焼酎等 |
飲料 |
ジュースは市販品を小分けするものに限ることとし、その場での製造は不可とする。 牛乳は市販品を小分けするものに限ることとし、保冷設備を設けて、保存温度を遵守すること。なお、容器の移し替えは衛生的に行うこと。 |
ジュース、牛乳等 |
かき氷 | かき氷に使用する氷は飲用に適する水で製造されていること。 |
https://youtu.be/WPcRs6T25us
効果的な集客
ここまで、準備が整いました。
ですが、模擬店の成功に欠かせない「集客」も忘れてはいけません。
模擬店を成功させるためには、より多くの人に来てもらい、利用して貰う必要があります。
まずは、提供商品を決める際のコンセプトや、競合との差別化。
次に、SNSを活用した宣伝
チラシや配布物を利用した告知
https://www.youtube.com/shorts/9O46pKalJjg
事前の告知や、当日の実況などSNSを活用した集客が成功への鍵を握ります。
調理担当、会計担当のほか、宣伝担当にもスタッフの配置が必要ですね。
模擬店で食品メニューを提供する場合のいろいろを挙げてみました。
提供する側も、イベント運営者も、もちろん利用者も、みんなが楽しく安全に、安心してイベントを実施することが出来るよう、事前のシュミレーションは十分に行うことが最重要ポイント。
入念な準備で模擬店を成功させましょう!
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